離婚や面会交流に関する文献情報(その2)
面会交流に関する米国の研究の一応の結論
親が離婚後の子どもの多くは、米国でも母親と同居し、父親と面会交流を行っている。しかし、面会交流で父親と過ごす時間は、わが国とは比較にならないくらいに長い。
以下は父親との面会交流に関する研究の一応の結論であり、Alison Clarke-Stewart & Cornelia Brentano(2006). Divorce-Causes and Consequences-, Yale Univ. Press.の整理である。面会交流の頻度が少なく、1回当たりの時間が短いわが国で、米国の研究結果をそのまま用いることには問題が多いが、わが国での研究課題を示していると言えるのではなかろうか。
①面会交流が規則的に行われる場合(例えば週に1回とか、週に2回とか)に限って、
面会交流の回数の増加は子どもの福祉に結びつく。
②面会交流の期間が長い方が、子どもの自尊心や学校の成績に良い影響を及ぼす。
③子どもが面会交流を望む場合の方が、子どもに良い影響を及ぼす。
④母親が面会交流を望む場合には、子どもに良い影響を及ぼす。両親間の葛藤が強い場合は、
面会交流の頻度の増加は子どもに良い影響は及ばさず害になることがある。
⑤面会交流においては父親との接触の質が重要で、父親との情緒的な交わりが重要である。
⑥父親は、叔父さんや友人のようにではなく、親として子どもに関わることが重要である。
⑦子どもと過ごす時間の長さだけでなく、食事を作ったり、犬の散歩に行ったり、
庭の枯葉をかき集めたり、ボール投げをしたり、宿題に取り組んだり、
ベッドでの本の読み聞かせなど、日常的な交流が重要である
(楽しいことだけで過ごす、ディズニーランド・パパでないあり方)。
(宮﨑昭夫)